屠所之羊
読み方
としょ の ひつじ意味
屠殺場へ連れて行かれる羊のように、死や破滅が目前に迫っていて逃れようのない状態、または刻一刻と死に近づいている人のたとえ。自分の運命を変えられず、ただ危機や最期を待つしかない哀れな立場を表す。由来
「屠所」は家畜を屠殺する場所、「之」は「の」の意で、原義は「屠殺場の羊」。中国の仏教説話・漢文に見える「屠所に向かう羊が一歩ごとに死へ近づく」という無常観の比喩に基づく。日本には漢文訓読や仏教文学を通じて伝わったとされるが、成語としての初出年は未詳。おおむね古代末から中世以降に用例が広がった語と考えられる。備考
非常に硬い文章語で、日常会話ではほとんど使わない。死や破滅を強く連想させるため、比喩として用いる際も相手や場面への配慮が必要。例文
- 敗戦が決まった城内の兵たちは、援軍の望みもなく、まさに屠所之羊の心境だった。
- 余命宣告を受けた彼は、自分を屠所之羊のようだと語りながらも、残された日々を静かに過ごした。
- 不正が明るみに出ると、社長は記者会見の日を待つ屠所之羊のごとく沈黙した。
- 逃げ道をすべて塞がれた犯人は、警察の包囲の中で屠所之羊となった。
- その小国は大国同士の争いに巻き込まれ、外交の場で屠所之羊のような立場に追い込まれた。
類義語
- 屠所の羊
- 俎上の魚
- 風前の灯火
- 死期が迫る
- 逃れられない運命
対義語
- 前途洋々
- 前途有望
- 起死回生
- 生気溌剌