奇技淫巧
読み方
きぎ いんこう意味
珍しく巧みな技術や、度を越して精巧・華美な細工のこと。単に高度な技術をほめる場合もあるが、多くは人の目を楽しませるだけで実用性に乏しい、ぜいたくで風紀や質素さを損なう技巧という批判的な意味で用いられる。由来
中国古典『書経(尚書)』「泰誓」に見える「作奇技淫巧、以悦婦人」に由来するとされる。殷の紂王が珍奇でぜいたくな細工を作らせ、婦人を喜ばせたという文脈で、奢侈を戒める語として伝わった。『書経』の成立・編纂時期は諸説あるが、戦国時代から前漢期ごろ(紀元前4〜2世紀ごろ)に整理されたとされる。備考
古風で硬い語。現代の日常会話ではまれで、歴史・工芸・批評・思想史などの文脈で使われる。ほめ言葉にもなり得るが、奢侈や技巧過多を戒める響きが強い。例文
- 江戸時代の奢侈禁止令では、ぜいたくな細工物が奇技淫巧として取り締まりの対象になることもあった。
- 彼の彫金作品は驚くほど精密だが、批評家の中には奇技淫巧に走りすぎていると見る人もいる。
- この新製品は機能を盛り込みすぎて、便利さよりも奇技淫巧の印象が強い。
- 儒教的な政治思想では、民の心を惑わす奇技淫巧を遠ざけ、質素な生活を重んじるべきだとされた。
- 伝統工芸の繊細な装飾を、単なる奇技淫巧ではなく高度な美意識の表れとして評価したい。
類義語
- 奇伎淫巧
- 巧緻精妙
- 精巧緻密
- 技巧精緻
対義語
- 質実剛健
- 質素倹約
- 簡素質朴
- 質朴剛健