一字不説
読み方
いちじ ふせつ意味
仏教・禅で、究極の真理は言葉や文字では説き尽くせず、あえて一言も説明しないこと、または説いているようでいて本質は言葉の外にあるという考えを表す語。転じて、沈黙によって深い内容を伝える態度をいう。由来
禅宗・仏教に由来する語。釈迦は長年にわたり説法したが、真理は本来言語で完全には表せないため「実は一字も説いていない」とする発想に基づく。背景には中国で5~7世紀ごろ流布した仏典・禅籍に見える「未曾説著一字」「四十九年一字不説」などの表現がある。正確な初出年は不詳。備考
主に禅・仏教の文脈で使う硬い語。日常会話ではまれで、比喩的に使うと文語的・評論的な響きがある。単なる無言ではなく、『真理は言葉を超える』という含みが強い。例文
- 禅の師は、一字不説の姿勢で弟子に自ら答えを見いださせた。
- その茶会には、一字不説でも心が通うような静けさがあった。
- 監督は作品の結末について一字不説を貫き、観客の解釈に委ねた。
- 彼の沈黙をただの無口と見るのではなく、一字不説の美学と受け取る人もいる。
- 『本当の学びは説明の外にある』と、老師は一字不説という禅語を引いて語った。
類義語
- 不立文字
- 以心伝心
- 教外別伝
対義語
- 多言多弁
- 千言万語
- 雄弁滔々