火宅之苦
読み方
かたく の く意味
仏教で、煩悩や苦しみに満ちたこの現世を、燃えさかる家の中のように危うく苦しいものととらえていう語。転じて、人生や社会が不安や苦難に満ちていることのたとえとしても使われる。由来
仏教語。中国・後秦の鳩摩羅什訳『法華経』譬喩品第三(5世紀初頭、406年ごろ)にある、迷いの世界を燃える家にたとえる「三界火宅」の思想に由来する。そこから、この世に生きる苦しみを表す語として「火宅之苦」が成立し、日本でも中世以降の法話や文学で用いられた。備考
仏教色の強い語で、日常会話よりも法話・評論・古典解説で使われやすい。『三界火宅』と関連づけて理解されることが多く、之は古風な「の」。例文
- 仏教では、迷いに満ちた現世を火宅之苦ととらえ、悟りへの道を説く。
- 戦乱の時代を生きた人々にとって、世の中はまさに火宅之苦であった。
- 住職は法話の中で、競争と不安に満ちた現代社会も火宅之苦の一面だと語った。
- 欲望に振り回される日々を省みると、火宅之苦という言葉の重みがよくわかる。
- 古典文学には、この世の無常や苦しみを火宅之苦になぞらえる表現が見られる。
類義語
- 三界火宅
- 四苦八苦
- 生老病死
- 憂患辛苦
対義語
- 極楽浄土
- 安穏無事
- 離苦得楽