抜苦与楽
読み方
ばっく よらく意味
人々の苦しみを取り除き、安らぎや幸福を与えること。仏教でいう慈悲の働きを表し、単なる同情ではなく、相手の苦悩を救い、心身の平安へ導こうとする積極的な救済の姿勢をいう。由来
仏教語に由来する四字熟語。「抜苦」は苦を抜き去ること、「与楽」は楽を与えることを意味し、仏教で「悲」は抜苦、「慈」は与楽と説明される。漢訳仏典や中国仏教の注釈に基づく語で、成立年代の厳密な特定は困難だが、中国では仏典漢訳が盛んになった後漢末〜魏晋南北朝期以降に広まり、日本では仏教伝来後、奈良時代以降の仏教教学の中で用いられた。備考
仏教・福祉・医療・慈善活動の文脈で使われやすい語。日常会話ではやや硬く、宗教的・倫理的な響きが強い。例文
- 医師としての彼の信念は、患者の痛みを和らげる抜苦与楽の精神に支えられている。
- その僧侶は、説法だけでなく炊き出しや相談活動を通じて抜苦与楽を実践した。
- 福祉の仕事には、制度の知識だけでなく、抜苦与楽の心が欠かせない。
- 災害支援に向かったボランティアたちは、被災者に寄り添い、まさに抜苦与楽の働きをした。
- 仏教美術に描かれる菩薩の姿には、衆生を救う抜苦与楽の願いが込められている。
類義語
- 慈悲
- 救苦救難
- 済世救民
- 利他行
- 慈悲喜捨
対義語
- 与苦奪楽
- 苦痛付与