一殺多生
読み方
いっせつ たしょう意味
一人または少数を犠牲にして、多くの人を救い生かすこと。とくに、悪人を討つなどの行為が、結果として多数の生命や社会全体を守るという考えをいう。ただし、人命の選別を正当化する危険を含むため、慎重に用いられる。由来
仏教の不殺生戒と「方便」の思想に関わる語とされる。多数を救うために一人を殺すという例外的な行為をめぐる仏教説話や倫理観に由来し、日本では中世以降、武士道・兵法・剣術の文脈で「一殺多生の剣」などとして用いられた。特定の初出文献・成立年は未詳。備考
仏教語・兵法語の色合いが強く、日常会話ではあまり使わない。人命の犠牲を扱うため、安易な称賛表現として用いると不適切になりやすい。例文
- 将軍は一殺多生の覚悟で、反乱の首謀者だけを処罰した。
- 彼の判断は一殺多生に見えるが、本当に他の方法がなかったのか検証すべきだ。
- この物語では、主人公が一殺多生の苦悩を背負って敵を討つ。
- 医療資源が不足する場面で一殺多生を口にするのは、きわめて重い倫理問題を伴う。
- 一殺多生を大義名分にすれば、権力者の暴力まで正当化されかねない。
類義語
- 小の虫を殺して大の虫を助ける
- 一人を殺して万人を生かす
- 大の虫を生かして小の虫を殺す
- 最大多数の最大幸福
対義語
- 不殺生
- 慈悲心
- 博愛
- 人命尊重