一字褒貶
読み方
いちじ ほうへん意味
文章中のたった一字、あるいはわずかな語句の選び方によって、人物や行為への賞賛・非難を示すこと。特に史書や批評文で、直接は言わずに字句の使い分けで評価を含ませる態度をいう。由来
中国の史書『春秋』の筆法に由来する。『春秋』は魯の年代記で、伝統的には孔子が紀元前5世紀ごろに編修したとされ、用字一つで君臣の正邪や事件への評価を示したと解釈された。「褒貶」はほめることとけなすことの意で、正確な成語成立時期は不明だが、中国古典の史論・文章論から日本に入った漢語表現。備考
日常会話ではあまり使わず、古典・歴史記述・文章批評で用いられる硬い表現。単に「短く批判する」という意味ではなく、字句に評価を込める点が重要。例文
- この社説は表面上は中立だが、形容詞の選び方に一字褒貶の意図が見える。
- 歴史家は一字褒貶を重んじ、同じ出来事でも「討つ」と「殺す」を厳密に使い分けた。
- 彼の批評は感情的な罵倒ではなく、一字褒貶によって作品の欠点を鋭く示している。
- 報告書では不用意な一語が評価を左右するため、一字褒貶の感覚を持って推敲すべきだ。
- 古典を読むときは、作者が一字褒貶に込めた価値判断を見落としてはならない。
類義語
- 春秋筆法
- 春秋の筆法
- 微言大義
- 筆削褒貶