乞食に氏なし
読み方
こじき に うじ なし意味
物乞いをするほど困窮した者には、家柄や出自を誇る意味がない、または世間から氏素性を問題にされないという意味。転じて、極度に落ちぶれれば、身分・血筋・肩書などは役に立たないというたとえ。由来
「氏」は一族・家筋・家柄のこと。物乞いをする人には家柄を尋ねても実際の助けにならず、また身分秩序の外に置かれがちだったことから生まれた表現。初出・成立年は未詳だが、家柄や身分を重んじた近世(江戸時代)以降の社会感覚を背景にもつことわざと考えられる。備考
「乞食」は現代では差別的・侮蔑的に受け取られやすい語。日常会話で人に向けて使うのは避け、古典・ことわざの説明に限るのが無難。例文
- 名家の出だと自慢しても、仕事も住む所も失えば「乞食に氏なし」だと祖父にたしなめられた。
- 昔の物語では、落ちぶれた武士が「乞食に氏なし」と言われ、家名より今日の飯を優先する場面がある。
- 彼は肩書を失って初めて、「乞食に氏なし」という言葉の厳しさを思い知った。
- いくら由緒ある家の生まれでも、困った人を見下す理由にはならない。「乞食に氏なし」という考え方は、身分への皮肉でもある。
- このことわざを授業で扱うときは、「乞食に氏なし」が差別的に響く語を含むため、現代での使用には注意が必要だと説明した。
類義語
- 乞食に系図なし
- 貧乏に家柄なし
- 落ちぶれれば家柄もない
対義語
- 氏素性は争われぬ
- 血は争えない
- 蛙の子は蛙